「中国市場からの資本の流出は」

お盆のシーズンで、海外旅行の方も多いのではないでしょうか。海外でのお食事やショッピングも楽しみの一つですが、気になるのが為替です。民主党から自民党に政権交代して、円安政策を取るようになって、1米㌦に対して円は80円から125円まで、35%以上も円安になっています。 

「海外駐在しても給料は日本円でもらっているので円安でとても苦しいです」と6月に視察団で北京訪問の際、日系企業の現地駐在員からこのような声が漏らされていました。しかし日本経済は円安効果で輸出企業が潤われ、史上最高の利益を計上するなど経済復活に円安効果が顕著に表われています。このことを裏返せば、輸出相手国企業の雇用や利益を奪うことになり、経済摩擦や通貨戦争など引き起こされることもしばしばあります。 

中国は2005年7月21日から、中央銀行管理下の通貨バスケット変動相場制を採用し、1米㌦8.3元の実質固定相場から、米㌦にペッグする変動相場制に変更して今年でちょうど10年目を迎えます。その間、米㌦に対する為替は最大で36%切り上げたことになり、輸出依存の中国の企業に大打撃を与えました。 

投資考察団で訪問した企業も、業績の不振を一様に元高のせいだと為替政策を盾に、責任逃れをしようとするところも散見されます。 

そうした中、中国の税関当局(税関総署)が先週末発表した輸出入のデータ(12日の『徐さんの中国株』ご参照)は関係者をアッと驚かせたのです。 

11日、何ら前兆もない中で、中央銀は人民元の切下げを発表したのです。「ワンステップで凡そ2%の切下げ」のはずだったが、初日は1.8%、翌日は更に1.6%、3日目も1.1%と雪崩的元安に警戒した中央銀はついに記者会見して趣旨説明を行ったのです。 

切下げの幅について明確に説明(当社HP中国経済News & topicsをご参照)した後、市場の懸念についても解説しました。 

まず「中国の外貨準備高はこの一年で3兆9900億米ドルから3兆6500億米ドルへと、約3000億米ドルを減らしたことになるが、外貨が流出したのか」という質問に対して「減らした3000億米ドルは、国内の個人や企業が米ドル預金に換金し米㌦は1080億ドル、今年上半期だけで更に700億米ドルが換金された。また中国企業の海外投資が増えたことにより、一部換金された米ドルで投資されている。更にもう一つの原因は為替変動だ。中国の外貨準備高に米㌦のほか、ユーロと日本円もある。ユーロと円がこの一年10数%切り下げているので、米㌦に換算すると少なくなるので、これも準備高減少の一因である」と所謂外国資本の中国からの流出説を否定しました。 

切下げの背景について、FRBの利上げ観測で、主要通貨に対して米㌦高になり、BIS(国際決済銀行)の試算によると、2014年以来、人民元の名目実効為替レートと実質実効為替 レートはそれぞれ10.28%と9.54%上昇しており、人民元の実行為替の安定と言うことでも米㌦に対して切下げの必要がありました。 

一方、国内においても、7月のM2は6月比で1.5%上昇し、人民元の融資残高は1兆6100億元増えたため、外貨の需給関係に影響し人民元切下げの圧力があったと7月の本土株式市場を買い支えるために銀行17行経由「中国証券金融有限公司」に1兆3000億元の買い支え資金の融資をしたことを間接的に認めたのです。 

この会見の後、元は買い戻され、13日付け終値で6.3990となり、切下げ前の8月10日の終値、6.2096元からちょうど3%の切下げとなったのに続き、本日昼(14日)現在引き続き元高で推移しています。 

中国はこのまま元安を放置しますとアジア通貨の連鎖安が引き起こり、金融危機の再来も杞憂ではありません。株式市場も為替市場もひとまず落ち着いたが、政策をしっかりと見守る必要があります。

 

 

徐さんの中国株の最新記事

「中国市場からの資本の流出は」」への1件のフィードバック

コメントは停止中です。