ソロス・ファンドが香港ETFを

香港証券取引所は先週6月30日までの上半期の決算を発表しました。それによりますと、純利益は73%増の40億9500万香港㌦で半期の利益としてこれまでの最高を記録したと言います。

売上高の内訳を見てみますと、決済業務は26億5700万香港ドル、現物取引は18億8600万香港㌦、証券及び金融派生商品は11億香港㌦となっています。

証券取引所の最高益は6月までの中国本土株大相場の影響と上海、香港直接取引の直通車の影響があることは言うまでもありません。本土株の盛況で、香港株の一日の平均取引高も昨年比で88%増の1253億香港㌦となり、直通車経由の利益は1億1500万香港㌦に達したと言います。

証券取引所が最高益を記録した後、本土株と香港株は大暴落に見舞われ、政府が市場介入せざるを得ない状況に追い込まれ、更に人民元も突然切下げを発表されたりして、中国市場から資本が流出したのではないかと懸念されます。下期の市場はどのような展開になるのか様子見の投資家も多いのではないでしょうか。

しかし、前出のように、香港証券取引所の一日の平均取引高は1253億香港㌦でこれは2000年以来の最高記録で、大相場の2007年の880億香港㌦を上回る水準となります。また、7月31日まで香港市場での調達資金は7860億HKDで2014年通年の9430億HKDに迫る勢いで伸びています。

一方、香港市場の時価総額は3兆7500万米㌦で、世界で6番目に数える市場で、IPOの数でも2013年には103社、2014年には114社、2015年現在62社と、2013年と2014年の調達金額はいずれも世界の2位であると香港市場は重要な国際金融センターであることに変わりのないことを物語っています。

一方、WSJの報道として、ロイターや日経でも取り上げられていますが、米著名投資家ジョージ・ソロス氏率いる投資会社ソロス・ファンド・マネジメントが4月から6月にかけて米国上場のEコマース世界最大手のアリババの株式を保有の444万株から約5株に大幅に減らし、また検索エンジン大手百度(バイドゥ)の株式80%を売却したと同時に、香港株と新興市場企業の上場投資信託(ETF)を追加で取得したと報じられています。

香港株ETFは主として香港市場上場の内陸大型株で、凡そ190万株8800億米ドル分を購入したと言います。香港市場は目先には、人民元切下げとFRBの利上げ観測で相場は流動的ですが、後半に向けて、人民元の国際化と資本勘定の全面的開放並びに基金の相互承認の具体化などでAH株価格差指数も縮小に向かうだろうと見られます。

ソロス・ファンドがそのような動きに察知して備えているのではないでしょうか。

 

 

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