これが、香港市場

中国株投資と言っても、直接中国大陸のB株市場に投資される方もいるのでしょうが、大半は香港に上場している本土企業または香港現地企業への投資ではないかと考えられます。 

中国本土市場は、一部にQFII(適格海外機関投資家)経由海外の機関投資家に開放し、また昨年開通された上海・香港直接取引の直通車で個人投資家にも開放していますが、まだ通貨、人民元の自由兌換も含めて資本市場の完全な開放には至っていない状況が現在も続いています。そういう意味では、今月の初めごろに起きた中国株の大暴落は「コップの中の嵐」だと勉強会で指摘しています。 

しかし、香港は完全に自由なマーケットで、機関投資家も個人投資家も投資の意志さえあれば誰でもいつでも投資できる市場です。 

本土市場の投資主体は8割方が個人であるのに対して香港は6割以上が機関投資家で、経済のボーダレス化と言われる昨今、世界中のどこで起きたこと(テロや自然災害、紛争、病気、飛行機事故などなど)でも、香港のマーケットはすぐに反応してしまいます。 

本土と隣接することもあって、上海・深セン市場の暴落があると、香港市場は連れ安となります。 

直近で言えば、ギリシャ債務の問題、MERS(12年前にSRASも)やエボラ出血熱、クリミア半島の危機などが伝わるごとに香港株が下落するし、また言うまでもなくニューヨークや東京市場の下落の際も連れ安となりますし、地元の事件事故、例えば、昨年の学生や一部市民による道路占拠、今年の行政長官選挙方法に関する投票などマイナス情報に敏感に反応するのが香港市場だと言うことになります。 

しかし、その反面、本土の利下げや直通車の開通、基金の相互承認、政府による市場のテコ入れ策など、A株が反応するプラスの情報には鈍感で大きく反応しないのもまた香港市場そのものです。 

機関投資家を主とする市場で、投資信託同様、大型・指数株を中心としていることが原因の一つとされます。指数に負けさえしなければ、相応のボーナスをもらえるのがアナリストで、中小企業株やGEM市場は、その調査対象外と言われているように、小型株は一日の取引高が○○万株だけということも日常茶飯事です。 

このように香港市場は海外機関投資家の資産配分のマーケットの一つで、世界中どこでも暴落の兆しが出ると、香港株を売って違うマーケットに資産を移すことに躊躇はないものと思われます。いわゆる資金の沈殿のない市場とも言われます。 

では、どうやって香港市場に資金を沈殿させることができるか、ということですが、内陸からの資金流入(保険金の投資や基金相互承認、直通車の開通など)が期待されています。 

株式投資では経験は何ら役に立たないと言われますが、香港市場の歴史を振り返ってみますと、アクシデントによる暴落後には、必ずと言っていいほどすぐに元に戻るということです。

世界でも注目されるFRBの利上げが発表される日が香港市場にとって直近のアクシデントの一つだと言えることでしょう。しかし一方それもチャンスではないかと見ております。

 

 

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