ギャンブル好きに変わりはない

直近2回のメルマガで取上げた「恒発洋参」(0911)は本日取引再開しました。同社は先月28日、取引開始後まもなく91%も暴落して取引停止を発表しました。本日の寄付きで135%高の0.08HKDで取引を再開し、最高で250%を超える0.118HKDまで買われています。

同社の発表によると、大株主兼社長の楊氏は自社株を抵当に差し出して融資を受けているとし、現在財政的困難に陥り、第三者との間で自社株の譲渡について協議中のことを明らかにしました。

市場では株価の下落で、強制決済ラインに抵触し、担保の株式は自動的に売却されたことが株価暴落のきっかけではないかと伝えられています。

これだけ株価暴落の理由が明らかな状況でも、午前中だけで、同社流通株200億株の内、100億株が取引(売り買い)されています。

中国人のギャンブル好きが有名な話です。投資考察団で成都や重慶など内陸を回っても、お昼から道端で麻雀に興じる場面が良く目に入ります。

金銭を絡ませるギャンブルは禁止され、公営の競輪や競艇などもちろんありません。麻雀でも賭け事は建前上禁止です。賭け事で敢えていうならロト6のようなスポーツくじがある程度で、「株式市場は絶好のカジノだ」と言われる所以です。

世界最大のカジノを誇る澳門はすでに売上高ではラスベガスの約5倍まで膨らんでいます。2014年12月20日に隣の珠海と海上の大橋で繋がり24時間通関もできるようになり、現在年間3000万人を超える来客の9割以上が内陸からだと言います。

かつて公金でカジノを楽しんだ人たちは習近平氏が進める腐敗一掃ですっかり影を潜め、2015年のVIPルームの売上高が約4割もダウンしたことはそうしたVIP客が減少したことを意味するものです。

しかしながら、腐敗一掃に関して習氏の発言から微妙な変化が読み取れます。2013年には「腐敗一掃は依然厳しく複雑だ」に対して、2014年は「腐敗一掃はまだ圧倒的勝利にはなっていない」としたが、2015年には「腐敗一掃の圧倒的情勢はなりつつある」として、「制度的腐敗一掃は後半に入った」とキャンペーンの収束を示唆するとされる変化が表れています腐敗一掃が終わったからと言ってVIP客がすぐに増えるわけではありませんが、すでに決算を発表したサンズやギャラクシーは赤字幅の縮小か黒字転換など業績の回復が明らかになっています。

香港、澳門、台湾を含む中華圏は間もなく春節(旧正月)に入ります。今年の経済について、中央銀行の陸統計局長は先日の内部金融フォーラムで、「2016年の最重要課題は人民元為替の問題だ。為替が安定すればその他の問題は簡単だ。供給者側改革は進めるべきだが、しかしそれが成功しても、(経済は)L字型の安定成長で、V字型の回復にはならないだろう」との見通しを示しました。

高度成長の再来を期待することはナンセンスですが、台風の目にある業種業界は必ずあります。台風の目にある企業をピックアップするのが当社発行「中国企業情報」です。澳門の構造転換がスムーズに進めば、関連企業も注目の一つかと考えます。

 

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