ゾンビ企業の処置が本格化 上場企業も対象

供給者側改革の目玉の一つにゾンビ企業の処置です。ゾンビ企業とは?文字通り、生きていながら、生産性がなく、社会的貢献もないにもかかわらず、常に栄養分(血)を吸い取るドラキュラ(吸血鬼)のような存在の企業のことです。生産過剰の元の一つで、企業破産やリストラが難しいのは、膨大な従業員を抱えていることも原因の一つです。

また政府の後ろ盾もあって、金融機関から大量の融資を受けたりしていますので、返済を待っている金融機関が貸し倒れなどを憂慮し、「破産」などの処置に難色を示していることも考えられます。

伝統産業の生産過剰について、これまで鉄鋼や石炭、セメント、板ガラスなど当ブログでも取り上げていますが、造船業もその一つです。

工業と情報産業省によると、世界経済の先行き不透明で、2020年まで、世界船舶の年間需要量(トン数)は8000万トン~9000万トンの間と見られますが、しかし中国の造船能力はすでに8000万トンに達し、中国だけで世界の需要トン数を満足させる生産能力を抱えるようになっていると言います。

一方、これだけ生産能力を抱えているにも関わらず、造船業の最高技術を結集した空母やLNGタンカー、大型クルーズ客船などの国産化はまだできてないのが現状のようです。

供給者側改革とは、サプライヤーサイドの技術力を高めることが目的の一つで、反面、技術力もなく政府補助金で存命しているゾンビ企業を整理、統廃合することも目標の一つです。

マーケットで噂されていた、予想されるリストラ従業員数も現在開催中の全人代で明らかになっています。

8日、全人代の分科会に出席した人的資源と社会保障省の信長星次官は、生産過剰の解消プロセスにおけるリストラ従業員の再配置に関するガイドラインは間もなく完成し、これを発表されるとして、企業内部での配置転換、転職・起業の支援、再就職に困難な年齢の高い従業員の早期退職奨励と企業扶養、公益事業による再雇用など四つのジャンルで保証していく方針を明らかにしました。更にリストラの対象者は石炭関係では約130万人、鉄鋼関係では約50万人に上るであろうことも明らかしています。

全人代の開催に合わせるような形で、ゾンビ企業の整理統合に透明性を高めようと、各地でゾンビ企業認定基準を相次ぎ発表されています。今年2333社を閉鎖また統廃合予定の広東省では、1)政府補助金と銀行融資に頼る企業、2)総資産負債比率が85%を超え3年以上赤字経営か、3年以上未払い(給与、税金、利息、諸経費)が生じている企業、3)半年以上操業停止または一部操業停止の企業としています。

イギリスは国有企業民営化のお手本ですが、日本も国鉄や日本電信電話、専売公社などの民営化を経験しています。ゾンビ企業の統廃合は、経済だけではなく社会問題でもあります。統廃合はこれからが本格化されますが、当局者の手腕が問われます。上場企業も対象ですので目が離せない状況です。

 

 

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