トレンドとは

株式投資の儲けの8割方はトレンドにうまい具合に乗ることができたおかげだと前回指摘しています。では、どうやってトレンドにうまく乗り合わせられるのか、具体例を参考に見てみましょう。 

5月20日の「徐さんの中国株」で、「中国版バークシャー・ハサウェイ?」として「復星国際」(0656)を取り上げました。 

同社を第11回京華投資視察団で6月19日上海で担当マネージャーに夕食会に来てもらって会社の説明をしてもらいました。 

同社の関連会社、復星医療に以前から関心があって昨年訪問打診したことがあり、役員のスケジュールと決算報告直前のため、投資家との面会自粛の時期で訪問を断念したことがあります。従来の伝統産業から保険を基軸事業に方向転換の舵を切った復星国際の話を聞こうと、交渉の結果、夕食会に来てくれることになったのです。 

同社2013年本決算の売上高の内訳には、70%は鉄鋼や鉱業、不動産が占めていました。鉄鋼や鉱業、不動産や鉄鋼と言えば、中国の高度成長を20年近く支えた花形産業で、2008年の金融危機の際、4兆元に上る財政出動で一段と押し上げられた産業でもあります。しかしながら2012年から以降、生産過剰という反動が一気に出て経済の牽引役が成長の足を引っ張る斜陽に転落したのです。 

その為か、復星国際の株価も2013年までは大きな変化はありませんでした。しかし、2014年から以降、同社は、これまでの不動産、鉄鋼、鉱業から保険、投資、産業を3本柱とする方向性を明確に打ち出すと同時に、国内海外の保険会社の買収に打って出たのです。 

昨日、同社は昨年買収したポルトガルの保険会社FIDELIDADEの上半期監査前の決算見通しを発表しました。それによると、純利益は昨年同期比で、113%伸びの2億1000万ユーロに上るという。 

6月19日の上海での説明会で、同社売上高の内、保険を現在の約35%(2014年実績)から50%へ引き上げるともに、産業においては医療、不動産のほか、中所得層をターゲットにする消費、健康、エンターテインメントを中心に産業を育成していくことを特に熱心に語ってくれました。 

上海ですでに600人が入居する養老不動産のほか、レジャーの名門Club MedやカナダのCirque du Soleil、イギリスのThomas Cookなど業界のトップ企業を次々と傘下に抑えています。 

このように、中国経済の流れ(トレンド)に沿って、伝統産業から、保険、投資、産業を柱とする方向に同社は事業転換しています。7月3日に発表した上半期の業績見通しでは、昨年比で50%の成長ということでしたが、中国株の暴落で同社投資の実績はどうだったのか、現在のところまだ明らかになっていません。しかし同社梁CEOは「株価が暴落する際に買わなければ、暴騰の時に売る株もないだろう」と今回の暴落で押し目買いをしたことを示唆しました。 

同社の事業転換から、トレンドに乗ることの大切さが示唆されたのではないでしょうか。

 

 

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