トレンドに乗ること

2015年の6月は中国株式市場に永遠に刻まれることでしょう。空前の暴落が突然市場を襲いかかり、6月15日から7月8日(中国勉強会の前日)までの17営業日で、上海総合指数は32.11%暴落し、時価総額20兆元が「蒸発」してしまったのです。統計によりますと、時価総額50万元から500万元(約1千万から1億円)までの個人口座は21万2000口座が消えてなくなり、時価総額500万元(約1億円)以上の口座も3万口座消えて、これら「中流階級」が市場の暴落で無一文に舞い戻ったことになりました。

これでも政府は「市場任せ」主義では、経済成長どころか、これまでの努力がすべて泡に帰してしまいますので、IPO停止や証拠金取引の保証金率引き上げなど行政手段もやむを得ないかと考えます。

しかし、てこ入れ策は外科手術のようなもので、痛みを伴うばかりか後遺症を残すケースもただあります。MSCIの新興国市場指数に中国株を組み入れるか、または年末のSDRに人民元を盛り込むかどうかなど市場経済と人民元国際化を目指す中国にとって大きな痛手となったことは間違いないでしょう。 

一昨日(18日)、ロンドンで開かれている金融安定理事会に出席した中国財政部(財務省)の朱副部長(副大臣)は「株式市場を安定させる中国の対策は合理的で、テクニカル的には、今回の混乱は終息に向かっている」との考え表明しました。朱副大臣は中国株式市場急落の原因について「大幅な上昇に伴う自然的な調整で、また市場は未熟で融資のレバレッジ比率が高すぎたことも原因の一つだ」と証拠金取引の過剰融資が一因であると分析しました。 

株式市場の暴騰暴落そして政府の「救済措置」は、外資の中国離れを引き起こすのではと一部報道が見られますが、天が崩れ落ちてきはしないかと心配する「杞憂」そのものだと考えます。 

邱先生に教えられ、私もつい手に取った史書『史記』の「貨殖・列伝」に「天下熙熙,皆为利来,天下攘攘,皆为利往」という件があります。私が和訳するよりぜひGOOGLEとかで調べてほしいと思います。 

外資の短期的撤退があるかもしれませんが、いずれ戻ってきます。なぜならそこには更なる成長が期待できるマーケットがあるからです。2000年前の『史記』がすでに示唆したことです。今回政府は一部批判を受ける覚悟で「救済措置」を取った背景には、中国経済の安定成長と構造転換は株式市場の成長が必要不可欠だと判断したものと考えられます。 

「株の儲けは我慢料だ」と邱先生が残した言葉です。個別銘柄の選定も大事だが、儲けの8割方はトレンド(趨勢)に乗れる(便乗できる)かどうかで勝負が決まります。今年後半のトレンドは8割方香港株にあると考えます。「途中下車前途無効」と言う言葉も思い起こしてほしいと思います。

 

 

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