下支え策 買われたのは?

本土市場の未曽有の暴落で、証券市場管轄の中国証券監督管理委員会(CSRC)は中央銀行など国務院直属の官庁とともにさまざまな対策を打ち出しています。その内の一つに5者択1というのがあります。

市場の下落を食い止めようと、上場会社に対して、大株主の買い増し、自社株の買戻し、役員、監査役、高級管理職の買い増し、ストックオプションと社員持ち株計画の発表など五つの措置から必ず一つを選択して実行するよう求めたのです。 

これを受けて16日現在で、1125社が自社株の買い増しを表明し、400数10社が自社株の買い増しを実行したとの公告を発表しました。 

自社株買いは経営陣として会社の将来に対して自信があることを投資家にアピールする効果があり、また買い戻した株を償却し、流通株を減らしたりすることにより株価を押し上げる効果もあって平時でも株式投資の参考指標の一つとされています。 

しかし、この買い増しを選択した会社の対応もこれまたさまざまな議論を引き起こしています。 

というのも、63社が少なくとも1億元以上相当の株式を買い増しすると表明したのに対して、100株単位の自社株を10単位(1000株)買い増しをした会社は70社近くあり、更に、1単位(100株)だけ買い増しした会社は何と20社近くあることが地元新聞の纏めで明らかになりました。 

1単位(100株)や3単位(300株)だけ買い増しのためにわざわざ公告を発表するなどに対して投資家は「侮辱された」と不満を漏らしています。 

中には、社長本人は買い増しはしないが、17日から21日の間に、社員が自社株を買って損した場合、社長がポケットマネーで補てんすると発表する会社もあり、株主訴訟のリスクを残す公告も見られます。 

それより私の注目は、AH株同時上場の交通銀行(3328)の総裁と執行役員2名の買い増しです。同銀行の牛董事長(総裁)と于役員、陳監査役の3名は今月10日と13日それぞれ4万4400元、3万6500元、1万4800元合計9万5700元で買い増ししていますが、2014年の牛董事長の年収は179万元だったので、投資家は、ケタを間違えたのではと指摘します。 

更に買い増しをしたのはA株ではなく、H株だということで、現在の株価はA株に対してH株は20%ほど安いことがあるのでH株を選んだと思われますが、H株が安いんだというメッセージをマーケットに送ったのではないかと考えられます。 

買い増しで大盤振る舞いをしたのは復星集団(ホールディングス)の傘下企業、復星国際(0656)が取り上げられています。同社は6日から3回にわけて3億5000万HKD相当の自社株を買い増ししたほか、更に新華保険(1336)の株、2億HKD分を、買い増しをして持ち株比率を10.01%まで引き上げています。 

17日付の「香港経済日報」によると、最近香港㌦(の為替)が強く、外部資金が香港市場に流入していることの裏付けだとしてこれを報じています。 

香港株にチャンスですが、何に投資するか投資家の眼力が試される時です。

 

 

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