ビッグデータの悪用?

 テック株は依然冴えない状況が続いています。アリババは先月24日、増収減益という第3四半期(10~12月期)の決算を発表しました。このサイトの「中国経済News & topics」(2月26日付)で速報として取り上げましたが、 法人所得税率は前期の10%だったのが、今期の実効税率は33%だったというのが気になるところでした。

 中国の標準的な法人税率は25%だが、ハイテク企業として認定されれば15%、さらに不可欠なソフトや特殊なセクターを運営されている企業として認められれば10%の優遇税制が適用されました。アリババは10%といういわゆる最高の優遇税制を受けてきたが、ここに来て一転「破格」の33%(25%以前の最高税率)が適用されることになり、当然ながら利益に影響してくるだろうと考えられます。
 昨今、政府はネット関連企業に対する締め付けを強化しているとこのコラムで何度か取り上げていますが、具体的に何をどう締め付けているのか、具体例を見てみましょう。
 3月1日、北京消費者協会は「大数据杀熟(ビッグデータを活用した常連ユーザー殺し)」の調査結果を公表しました。
 大数据杀熟は近年できた「新語」で、プラットフォーム型企業がビッグデータをもとにユーザーの購入履歴や消費傾向を分析し、ユーザーが知り得ないバックヤードのアルゴリズムによって商品やサービスの値段を任意に変えてしまう行為のことを言います。
 前出調査結果によると、8割以上のネットユーザーはそのような経験があると答えたと言います。さらに、どのような消費でそれを経験したかという問いに対して、回答の多い上位3位は、旅行予約サイト、デリバリーサービス、配車サービスだったのです。
 そして、具体例としてアリババ傘下デリバリーサービスアプリの「餓了麼(ウーラマ)」の証拠が示され、同一店の同一メニューを新規登録のアカウントと従来の(オーダー履歴のある)アカウントで注文すると、従来アカウントには、プラットフォームからのキックパックがないばかりか、配送料も新規アカウントより高くなっていると言います。
 中国では昨年11月1日から、「個人情報保護法」が実施され、過度な個人情報の収集や「大数据杀熟」を「してはならないと明確に打ち出しています。
 私も通販のアマゾンを利用して、缶ビールをケース単位で注文した経験があります。初回は送料込みでという表示で確かに安いという印象がありましたが、2回目以降は表示の値段が変わったことをはっきりと覚えています。これは果たして新規ユーザーを獲得するための販促なのかそれとも大数据杀熟なのか議論する余地があるだろうと考えます。
 北京消費者協会は消費者団体で、処分や処罰の権限はないものの、国会にあたる全人代の開幕(3月5日)に合わせて問題提起したことに意義があると推測できます。
 テック系企業への締め付け、規制強化はまだ暫く続くものと考えます。

 

 

 

 

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