事前審査と、監視及び訴追

市場では、香港のセント株の氾濫は監督機関がこれを真剣に取り締まろうとしない無責任によるものではないかとの質疑に対してHKEXの李小加総裁は、特に、内陸と香港市場の違いを意識しながら、香港証券委とHKEXの役割は違うものだとさらに次のように力説しています。

「事前審査のメリットは、悪い企みを初期段階でつぶし、善人に害を及ぼせないようにすることができることだ。一般株主をメインとする市場(例えば上海市場)では、このような監督理念はまたとない選択肢であるかもしれない。しかし機関投資家を主とする市場(例えば香港市場)では、現実的に、どんなに厳しい事前の審査でも、市場を完全にクルーズするなら別だが、違反を根絶することはできない。

厳しい事前審査を科す場合、逆に善人の自由を妨げ、正常なマーケットオペレーションを窒息させることになる。更に審査のプロセスでは、監督という立場の人に多大な自由裁量権を付与すると、腐敗と権力の乱用という問題も引き起こしかねない。香港市場は後者の監督哲学を採用している。その良さは善人の自由を守り資本市場の効率を高めたが、対価としては悪いことを企む人を事前に完全に排除し、またはすぐに退場させることができないことだ。

このような監督哲学は責任逃れではなく、悪いとされる人に対する監視、監督は主として強制的ディスクロージャー、株主の審査プログラムの透明性、ルール違反の監視、懲罰などで違反を抑止することだ。このような監督理念は、機関投資家を主とする香港市場というマーケットの仕組みと密接に関連しているからだ」

「監督管理において、香港証券及び先物取引事務監察委員会(日本でいう「証券取引等監視委員会」)と香港証券取引所(HKEX)はそれぞれ違う責任を背負っているのだ。HKEXは、第一線の監督機関として、「上場規則」に基づき、上場会社とその役員のコンプライアンス(情報開示や株主総会の開催など)を監督するのだが、株主の自由な決定権に関与せず、投資家を監督する責任はもちろん持ち合わせていない。香港証券委は独立した法的機構で、企業買収や株式の買戻し、公開市場での買い付け、インサイダー取引、株価操作などの違反行為に対して取引のプロセスでの監視と事後訴追を責任としている」

<勉強会のお知らせ>

次回の中国勉強会は10月6日(木)、

東京銀座の天厨菜館にて開催。

中国(香港)株式市場と視察団で訪問した企業の

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