四環医薬 底値か

 羅欣薬業(ルオシンファーマ)とのお付き合いは古いが、製薬会社ではもう一社長く付き合っている会社があります。四環医薬(0460)です。株価も2HKDから最高で12HKDを記録し、その後分割などを経て現在は1HKDを割り切るところまで下落しています。成長を信じて売らずに現在も保有している投資家も多く、依然関心の高い銘柄の一つです。政策に翻弄された面は否めないが、本当に成長するか気になるところです。

 四環医薬についてこれまで複数回このコラムで触れています。会社訪問で同社社長に「石薬集団(1093)」や「恒瑞医薬(600276)」を紹介してもらい、その後両社に投資した方から「株価は何倍、何十倍も上がった」との喜びの声が当社に届いています。しかし、同社株価は空売り機構に狙われたり、2票制や集中購買、保険対象から外れたりと市場と政策の両方に翻弄されながらずるずると現在まで下がっています。
 今年5月25日、同社株価は上場来安値の0.56HKDまで下がり、時価総額も最高400億から現在80億HKDを割り切っています。
 今年4月、「徐さんの中国株」の継続購読を案内したところ、会員のW氏から次のようなメッセージをもらいました。

「ご無沙汰しています。
昔、京華投資団に加わり、2回、四環医薬の工場を訪問しました。
お世話になりました。とても印象に残っています。
それ以来
小生、あいもかわらず「四環医薬」に注目しています。
株価は超低空飛行を続けています。
2019年12月決算は、のれん減損損失を計上したから大幅赤字です。
でも配当が出るのでありがたく思っています。
取引停止時代もあったり、もうスリル満点の銘柄です。
2020年は、今現在は真っ暗闇ですが、希望の持てる銘柄だと思います。
0.75Hから4HDぐらいにはならないかと思っています。(笑)
新型コロナウィルスの薬が発売されれば株価は急上昇だと
楽観的に思っています。(本当は心細いです)」(了)

 コロナの中、同社は8月に中間決算を発表しました。
 ご多分に漏れず、同社も売上高の大幅減で、昨年の16億5千万元から36.4%減の10億5千万元に、純利益は1億7千万元で、昨年同期のマイナス20億元から黒字転換を果たしたのです。そのため、通常配当の0.001元に特別配当0.03元をプラスして実施すると言います。前出W氏も配当という同社の気配りに多少安ど感があったのではと推測します。
 中間配当のハイライトに多くはありませんが、これまで約9割をしていた主力の心脳血管薬品の売上高は前年対比58%減の6億1千万元まで落ち込み、売上高に占める割合は57.8%まで縮小したのに対して心脳血管以外の薬品の売上高は114.6%増の4億4千万元まで増加し、売上高全体の42.2%まで拡大したことが注目すべきではないかと考えます。
 同社目標について、グループ会長の車馮昇氏は「自主研究開発と高品質な生産企業の育成を企業のコア価値とし、これに投資やM&A、インキュベーション、ホールディングス、スピンオフなど独立運営の子会社を育て資本市場への上場を実現させて親会社の価値増加に寄与してもらう」と創新薬の研究開発を中心とし、ジェネリック薬品の開発も同時に進める方針を明らかにしています。コロナ禍の中、インドの製薬会社、Heteroと共同開発の枠組合意を発表するなど、抗ウイルス薬の開発も伝えられています。
 同社ファンダメンタルズ(時価総額78億香港ドルに対して、現預金は49億5千万元、研究開発拠点の軒竹医薬の評価額は43億元の二つだけで優に100億香港ドル超)から見ても株価は底値ではないかと見られます。ちなみに、同社経営陣は8月27日、一株当たり0.9474HKDで2000万株の自社株の買い戻しをしたことが明らかになっています。

 我慢に耐えられる方は研究してみてください。

 

 

 

 

 

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