新年の展望

 新年あけましておめでとうございます。本日から仕事始めの方が多いのではと改めてご挨拶をさせていただきました。年末年始には過ぎ去った1年の総括や新しい年の展望といった「年中行事」が恒例の如く行われていますが、グローバルの視点で見る向きや投資家目線で見る向きなど様々とある中、このコラムの関心は何よりもこの先1年で自分の財布と関係のある動きはどんなものがあるのか、またどのように立ち向かうべきかで、今日はこのコラムなりの展望を立ててみました。

まず、新華社通信が纏めた「2019年、世界が抱える6つの懸念材料」をご紹介しましょう。同通信は、次の六つが世界の懸念材料としています。
懸念その1:シリア危機の行方、
懸念その2:北朝鮮の核問題、
懸念その3:英国のEU離脱問題、
懸念その4:欧州の「黄色いベスト運動」、
懸念その5:ロシア疑惑の捜査の行方、
懸念その6:貿易摩擦の緩和なるか

 世界の彼方で起きていることで、どれも自分とは関係がないと思ったらこれまた大違いで、どれ一つ深刻化するとグローバル化が進行している今、誰もが多少なりともその影響を受けてしまいます。中でも、「貿易摩擦の緩和なるか」は小見出しに米中は入っていませんが、次のように指定しています。
 「2018年、米国を発端とした世界的な貿易摩擦は、世界経済の持続的回復を阻む一因となった。新たな1年、世界経済の最大の懸念はやはり貿易を巡る緊張が緩和され、金融や投資、産業などの分野への連鎖反応を避けることができるかという点だ。
 2019年、世界の2大経済大国である米国と中国が、両国首脳の共通認識を確実に実行し、話し合いを通じて貿易問題を適切に解決し、両国関係の長期的で健全かつ安定した発展を促進することができるか。この問題が世界経済の先行きに与える影響は極めて大きい」と最後に米中に焦点を当てています。

 新華社の記事で貿易摩擦は6番目にランクインされていますが、中国株投資家にとってむしろ最も注目すべき課題ではないかと考えます。
 そこで当コラムでは、貿易摩擦を含む次の4項目に注目すべくピックアップしました。

 その一、米中貿易摩擦のエスカレート化
 両国は昨年12月1日に、90日間の休戦で合意していますが、その後の双方のメッセージを見ますと、輸出入の域を超えた米側が求める構造改革について短期間で達成が困難と思われる事項もあり、合意期限までどこまで歩み寄れるかが依然目が離せない状況が続きます。
 その二、中国経済のハードランディング
 11月の貿易統計によると、輸出は前年同期比5.4%増の2274億2000万ドル(予想は9.9%増)、輸入は同3%増の1826億7000万ドル(予想は14%増)でしたが、10月の統計だと、伸び率はそれぞれ15.5%増と20.80%増だったので、減速は明らかに。
そして12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、2017年6月から1年6カ月ぶりに好不況の境目とされる50を割り切って49.7となったのです。そして懸念される債務問題。輸出入統計やPMIなど月間統計をチェック(「新華財経メルマガ」をご活用)するようにしましょう。
 その三、不動産バブルの崩壊
 中央経済工作(活動)会議(12月19~21日)では、不動産について前年に続き「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という原則を2019年も堅持すると表明しました。過度な価格上昇で入手困難になり、過剰なローンの利用でレバレッジの半分以上が不動産ローンになり、消費を圧迫する結果に。
 その四、人民元為替のリスク
 意図的に元安誘導をしないと中央銀が幾度となく表明しています。しかし米利上げにドルがアメリカに還流。新興国通貨が暴落し、中国からの資本流出懸念が依然強く、外貨規制も継続される中、米と金融自由化交渉を続けています。

 しかし、中国経済の構造転換は外圧からではなく、主体的に進めるべき要素が多く、量から質への転換は今年の最大のハイライトになると考えます。皆さまも『徐さんの中国株』コラムと『新華財経メルマガ(発行元:株式会社新華ニュースジャパン)』を大いに活用し今後1年間の投資(指針)にお役に立つよう祈願申し上げます。

 

 

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