流れを把握しよう

2016年はブラック・スワン頻出の年で、歴史にもまた後世にも語り継がれる年となることでしょう。ブラック・スワンとは誰でも予想していなかったこと、または大方の予想とは違い、意外な結果が出たことを言いますので、ちょっと振り返っただけでも、イギリスのEU離脱やトランプ氏の次期大統領当選、韓国の大統領知人による国政介入疑惑、トルコの政変未遂やロシアとの関係悪化から劇的回復、ノーベル文学賞が、米シンガー・ソングライターに授与など、これだけ「予想外」のことが起きていました。

ノーベル文学賞がシンガー・ソングライターに授与したことで意外性をもって人々を喜ばせ、また励まされることで称賛にも値することだったかもしれませんが、これまで「常識」とされたことが覆されることが続くと、その「常識」は実は「非常識」だったこととなると、人々は反省せざるを得ないことでしょう。

イギリスのEU離脱もトランプ氏当選も「草の根の勝利」とも取られますが、背後にはインターネットとグローバル化があると考えられます。インターネットで世界がオンラインで一つになり、グルーバル化で世界経済がオフラインで一つになりました。これまでの30数年間、主要国の指導者誰一人グルーバル化に異を唱える人がいなかったが、ここに来て風向きが変わったのです。ヨーロッパになだれ込む難民問題は、同情心よりもヨーロッパ各国のガバナンス能力がこれに対応できなかったことで今後更に拡大されることでしょう。

言いたいことは、ブラック・スワンが頻出となると、それがブラック・スワンではなくなることです。つまり流れ――趨勢になってしまうことです。これまで常識とされたことが「非常識」になってしまう、そんなことが今後も頻繁に起こることになります。それがアメリカやヨーロッパに限らず、東アジアでも東南アジアでも同じことです。

年初のブログに、「2017年は投資の年となる」と書きましたが、経済が2017年に回復すると言う意味ではありません。構造転換の最中にある中国経済ですが、企業の業績回復はまだまだ時間がかかります。「投資の年」と言える根拠は「マネーの流れ」です。上海、香港直通車が2014年11月に開通されてから内陸から香港市場に流れ込んだ資金(3828億元)は、香港から上海市場に投資した資金(1265億元)の3倍超に達しています。この勢いは現在も留まるところを知りません。

昨年香港金融機関の米ドルや香港ドルの貯蓄残高は前年比(元換算で)1兆5000億元まで増えたと報告されています。香港政庁は不動産の高騰を抑えるため、昨年後半から、内陸の投資家が香港で不動産投資される場合、特別印紙税を30%まで引き上げる政策を発表しました。不動産へ投資する道が閉ざされましたが、そうした資金は千分の一や万分の一の金利で我慢すると思うなら、投資家として「OUT」です。

今年はこのようにお金が流れていくだろうと見ています。

 

 

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