政策の影響 洋の東西を問わず

市場待望の深港通は3ヶ月半の準備期間を経て、本日12月5日ついに開通されました。溢れそうになった内陸の資金が香港市場に流れるだろうと、特に香港市場側から大きく期待されていました。

香港ハンセン指数構成銘柄の大型株は上海・香港「直通車」の際、すでに取引の対象株で内陸の投資家も取引ができるようになったのですが、今回は新たにハンセン指数の中型、また時価総額50億HKD以上の小型株も対象に加わり、内陸投資家の趣向に良く合うマーケットだと期待も膨らんでいました。

 

ところが、蓋を開けてみると、本日のハンセン指数は取引開始直後にいったん上がったものの、それから下がりに転じ、前場は先週金曜日より0.36マイナスの22484ポイントで終了しています。

 

日経平均も本日下がりましたが、理由は同じく、4日に行われたイタリア国民投票の結果でした。改憲派のレンツィ首相が改憲反対多数という結果を受入れ辞意を表明したことで先行き不透明感からリスク再燃につながり売り先行となったのです。

今年はブラックスワンと言われる大きな出来事が相次いでいます。起きる度に市場に衝撃を与え、笑う投資家もいれば、泣く投資家も多くいます。

 

ところが、ハンセン指数が下がった中で、大きく化けた銘柄もあります。香港上場で日本のパチンコ業界関連のNIRAKU(1245)とDYNAM JAPAN(6889)です。

前場終了間際で前日比それぞれ

80%と30%ほど跳ね上がっています。

理由は言うまでもありませんが、カジノ関連法案が2日衆議院で賛成多数で可決されたことでした。日本で長年取り締まりの対象であるカジノが解禁されることが伝わると、香港で上場される関連銘柄が物色の対象となったものです。

 

カジノと言えば、マカオですが、そのマカオ放送局は2日、マカオ政庁は現金持込みで来澳の観光客に対して、

現金または小切手が12万マカオパタカ

(約10万人民元、1パタカ=約1HKD)を超えた場合、申告する義務を課すと報じました。

申告しない場合には、最高で50万パタカの罰金を科すとしています。

この報道を受け、香港上場のカジノ関連株は先週金曜日一斉に売られましたが、「深港通」の対象株で、内陸市場にない希少株でもあることで、本日買い戻され一転して上昇しています。

 

上海・香港直通車の後に、深セン、香港も必ず直接取引が実現されると、「深港通」が1年も前から期待されていました。2014年11月に直通車が開通されてから北上(A株へ投資する)資金が南下(香港株への投資)資金よりずっと多かったのですが、今年の5月あたりから一転し、先週末まで、北上資金の買越額は1214億元であるのに対して、南下資金の買越額は2倍以上の3229億元となっています。

 

トランプ氏当選と米利上げ観測の影響で他国通貨が米ドルに対して下がっている中で、香港ドルだけは1米ドル=7.75HKDという強制介入ラインに届かない範囲で推移し、香港市場に資金が流れていますが、香港から米ドルに両替して海外に流出はしていないことが裏付けられています。香港滞在の資金は「深港通」開通後の市場を狙っているのではと憶測されています。

 

市場は様々な要因で動きますが、政府の政策に左右されることは洋の東西を問わず変わらないことが明らかです。中国株に関しては、どうぞ引き続き「徐さんの中国株」をご注目ください。

 

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