介入より枠組み作り=環境整備を

暴落の市場を買い支えようと、昨日(9月1日)、10数社の証券会社が一斉に公告を発表し、各社が純資産の20%を中国証券金融有限公司に出資し、共同で市場の買い支えをすることを明らかにしました。 

先週末、証券委など監督機関が証券会社50社の関係者を召集して7月31日までの純資産の内、20%を中国証券金融有限公司に出資し、有価証券に共同で投資するよう呼びかけたと報じられています。 

7月にも証券委は証券会社21社に対して6月末日までの純資産の15%を有価証券に投資するよう呼びかけたことがあり、それに続く第二弾となります。 

これにより、中国証券金融有限公司には、更に1000億元以上の資金が集まり、投資用の弾が補充されることになりました。 

証券会社50社への呼掛けの後、31日、証券監督管理委員会、国有資産監督管理委員会、財政省、銀行業監督管理委員会の4機関(省庁)が共同で「上場企業の再編と現金配当並びに株式の買戻しを奨励する通知」を発表しました。 

同通知の主旨は文字通り、①上場企業のM&Aを含む企業再編を推進すること、②上場会社の現金配当を激励すること、③上場会社の自社株買戻しを大いに支持すること、の内容です。 

市場経済や成熟したマーケットでは、社会的責任の一環としても当たり前のことですが、監督官庁が敢えて「通知」を出すことまで、上場企業を律しようとすることは、これまで上場会社は当たり前のことでもあまりこれを実行しなかったことだと考えられます。 

このような「通知」を出したことについて投資家の一人は「指数が4000P台の時には、このような通知を出さず、3000P台に落ちてきた時に出すということは、今の株価は投資する価値があることだと示唆していることじゃないか」と感想を漏らしています。 

「リターンを高めることこそ何よりの買い支え策だ。これまでたくさんの買い支え策が発表されたが、今回の政策は唯一正しい選択だ」と識者は指摘します。中国の上場会社はどんなに利益を出しても配当しないことを徹することで知られています。 

一方、投資家も配当よりもキャピタルゲインを求める傾向が強く、長期投資の考え方が浸透せず、短期売買を楽しむことが主流となっています。その為、市場の乱高下の際、狼狽売りが繰り返され、その結果、更に市場の暴騰暴落という悪循環になってしまいます。配当を実施した全上場会社の2013年の割合は72.4%で、2014年には73.2%にわずかながら増えています。しかし、配当額を見てみますと、国有企業は76.9%を占め、その内商業銀行の配当は全配当額の48.4%と国有と銀行が配当の主力となっていることが明らかになっています。 

この度の中国株の乱高下で、投資家の一人が「中国株の下げ余り気にしないで配当だけの覚悟でいます」とメッセージを寄越してもらいました。中国株投資でこのような心持がほしいものです。 

目先の買い支え策も必要ですが、監督官庁としてもっと以前から枠組み作り=環境整備をしてほしかったと「通知」を読んだ時の率直な感想でした。

 

 

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