イータイコール私有化決議(コラム全公開)

イータイコール私有化決議、50%プレミアム付き(2023年3月30日)

 石炭大手、伊泰石炭(イータイコール・3948)の株価は30日急伸しました。29日の夜、本決算発表と同時に、公開買付でH株の全発行済み株式を買い戻して、香港証券取引所での上場を自主的に廃止するという私有化案を取締役会で採択したと報告しています。かつては羅欣薬業も・・・

 中国株投資でイータイコールになじみの深い人も多いかと思われます。同社は1997年、外国人投資家が買える銘柄がまだ限定的な上海市場にB株として上場し、B株を国内投資家にも開放すると株価は急騰し、日本人投資家にも数倍や十数倍の利益をもたらしてくれた銘柄で、Q先生の中国投資考察団で内モンゴル訪問の際、オルドス市で同社にも立ち寄り、豪華で広々とした応接室で説明会を開催してくれたことは強く印象付けられています。
 同社は融資ルートの拡大という目的で、12年7月香港H株にも上場しましたが、発行価格43HKD(その後1株に対して1株の無償付与があって、実質発行価格は21.5HKD)に対して上場後は一度もこれを突き抜けることはなかったのです。最高値は18.30HKDを記録しましたが、私有化発表日の終値は11.3HKDだったので、同社は17.00HKDで全数買い戻すと決議し、株主には50%のプレミアム付きで私有化することになります。
 同社私有化の理由については私有化先輩格にあたる羅欣薬業と同様、流動性が低く、株価が長期低迷で効率的な融資が出来ないからだと表明し、買戻しを通して株主に還元したいとコメントしています。
 中国株の高配当銘柄として中国神華能源(1088)を取り上げる際に、同社についても約10%の配当利回りがあると紹介しましたが、29日の本決算によると、22年度の売上高は19.68%増の606億4700万元、純利益は26.98%増の109億7500万元、1株当たり純利益(EPS)は26.69%増の3.37元でしたが、私有化実施のため、いままで10%前後を維持した現金配当は中止することにしたといいます。
 同社H株は全発行済み株式の10%に当たる3億2600万株で、1株17HKDで買い戻しても総額にして55億4200万香港ドルで、昨年1年分の純利益の50%にも満たない金額で、エクイティファイナンスで融資を受けるより本業に専念した方がよっぽど利益になると香港市場に上場して10年目にして「悟った」ことになります。遡ってB株に上場してから26年、同社純利益は666億5千万元、配当金額は195億元で配当比率は26年間平均で30%に達する計算になります。
 私有化決議案は株主総会での承認が必要とされますが、いまから投資しても約10%のキャピタルゲインが確保できるので、おおよそ承認されるだろうと推測できます。
 羅欣薬業の私有化の際、情報をキャッチできず期限まで売却できなかった株主の人は何人もいて当社が中に入って最終的に現金化できましたが、そのようなことがないよう忘れた持ち株を点検してみてください。

 

 

 

 

 

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