チャンスはあるが、隙も多い市場

上海株式市場(翌年深セン市場もオープン)が出来て数少ない株式の中、電力株を買った投資家は現在もこれを保有されているとはさすがに私も驚いています。

しかしこれは決して特例ではなく、このほかにも製薬会社(例:東瑞製薬ほか)や電化製品(例:科龍電器――現在名は「海信科龍」ほか)の会社の株を我慢して保有されている方はその後N十倍まで利益を手にされた方も多くいらっしゃいます。

しかし、長く保有したからだと言って必ずしも全銘柄で利益が出せるとは限りません。中国株には常に2大リスクを伴っているからです。

中国株式市場はこの夏未曽有の危機に晒され、金融当局はあらゆる手立てで何とか暴落を食い止めたのですが、信用取引の乱用で売りに売りを誘い、強制決済がきっかけになって暴落を始めたのですが、やはり(約8割だという)個人投資家が多いせいだと一部に見方が出ていますが、しかし、初期段階の市場介入で2000億から5000億元以上という、平均取引高の半分に近い軍資金投入も下落を食い止めることができなかったのです。

黒幕の存在を意識した当局はのちに公安省を動員して調査を仕掛けた結果、9月には証券委主席(委員長)補佐を、11月には証券委ナンバー2(副主席)を名指して「調査を受けている」ことを明らかにし、同時に、市場介入の実行部隊である中信証券ほか数社の証券会社をインサイダー取引疑惑で総経理の連行や立入検査が行われ、その過程で国信証券の総経理が自殺したり、国泰君安証券の総経理が消息不明になったりと証券業界に激震が走ったのです。

業界を牛耳る役人から実行部隊までインサイダーに手を染めるようなことでもしたら、個人投資家がどうやって太刀打ちできるのでしょうか。

そしてもう一つのリスクとしては、粉飾決算を軽々と手を染めることです。記憶に新しい方も多いかと思いますが、2008年8月、中国本土の企業として初めて東証マザーズに上場していたテレビ番組関連会社「アジア・メディア」が上場後わずか1年半くらいで上場廃止に追い込まれたことです。

最高経営責任者が会社の資金を無断で親族に貸し出したことが発覚し、監査法人は決算報告書に署名拒否がきっかけで上場廃止となりましたが、業績の水増しやその他粉飾は後を絶ちません。

リサイクルの「中国金属再生資源」はその最もたるもので、空売り機構のGlaucus Researchから数度にわたる空売り報告で、現在香港証券監督管理委員会から異例の会社清算と言う法的手続きを裁判所に申請しているところです。

日本では、オリンパスから最近の東芝まで隠ぺい体質を指摘されるケースも見られますが、上記Glaucus Researchのほか、ここ数年空売り機構のCitron ResearchやMuddy Watersが日本ではなく、香港やアメリカ上場の中国企業をターゲットにして「狙撃」をしていることからも、日本企業にはそういった「隙」が少ないことを裏付けているのではないか考えます。

中国企業研究の際、経済のトレンドや企業のファンダメンタルズのほか上記二つのリスクにも常に気を配る必要もあります。

 

 

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チャンスはあるが、隙も多い市場」への3件のフィードバック

  1. SECRET: 0PASS:久しぶりにアメブロを見ていたらこのブログに行き着きました。楽しいブログでした♪また、遊びにこさせてもらいますね。こんな素敵なブログを見た後で大変恐縮ですが、私のブログもご覧いただけると嬉しいです。

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