不動産バブル 抑制に打って出る

不動産の新政以来、主要都市の新規成約件数は40%以上も激減したことをHP「中国経済News & topics」で取り上げています。

 

10月28日、政治局常務委員による中央工作会議が開かれ、「穏やかな金融政策を堅持し、流動性の合理的な水準の維持と同時に、資産バブルを抑制し、金融リスクの発生を防止する」とした経済運営方針を発表しました。資産バブルを認めつつ、今年7月の会議決定からさらにバブルへの警戒感を強めた異例の内容でした。

 

不動産の急激な上昇に、これまでも毎年のように抑制策が発表されてきましたが、「発表される毎に不動産は上がる」としたタキトゥスの罠(Tacitus Trap)に完全に陥り、この10年間、不動産は倍々ゲームで上昇を続けてきました。

 

しかし、現在進行形で進められている抑制策は史上最強とも言われ、不動産市場への影響は昨年のA株市場のインサイダー取引に対する取締策に匹敵するくらいインパクトがあるかもしれません。

 

不動産市場には何が起こり、なぜ取り締まらなければならなかったのでしょうか。

それは不動産価格高騰の背後に、不動産関連企業の「誇張な宣伝やミスリード、売り惜しみ、抱き合わせ販売」など価格の高騰を助長する不当行為があったとされています。

そこで、監督官庁の住宅建設省は10月から不動産企業に対して一斉に調査に乗り出しました。その対象は万科や緑地、万達など不動産の大手にも手を及んでいます。

 

まず、杭州では、万科傘下の企業に「売り惜しみ行為があった」と認定され、期限内の改正が命じられました。

 

また深センでは、モデルルームなど販売現場で、某物件が分譲開始して一年以上も経ち、企業のポータルサイトでは「完売御礼」と何度も謳っているが、完売どころかいまだに現場で販売していることが調査で分かっています。

当該物件には1000以上あるユニットに分譲後のキャンセルは100ユニット以上もあり、その理由のすべてに「資金不足」とあって、販売マネージャーも理由について存じないとの一点張りだと言います。

 

抱き合わせの販売について、合肥では、某物件の分譲現場で、駐車場をまず買って初めて物件を買うことができると、10万元1台分の駐車場を50万元台まで不当に釣り上げていると言います。

 

深センではまた仮販売可能なユニット910に対して140ユニットしか販売していないたにもかかわらず、プロモーションでは、分譲開始2時間で9割以上が売れたと誇大広告をしたことが判明されています。

 

このほか、武漢や成都では、販売許可が取得される前に高騰のブームに便乗して分譲を開始したりするような違法行為もあったと調査で明らかになっています。

不動産仲介大手の中原地産のアナリストは「今回の調査は過去十数年になかったことで、いまだ調査の勢いに衰える気配は見られていない」と指摘しています。

 

こうした行政手段のほか、購入資金の出どころについて、住宅建設省と人民銀行は「ネット金融」と「P2P」資金の不動産市場への流入を監視し、証券取引所も不動産企業に対して、債券発行で調達した資金で土地の確保に流用してはならないと通達を出し、土地転がしを未然に防ぐ対策に懸命であることが伝わります。

 

市場関係者は、不動産企業にとって短期的には、潤沢な資金があるが、しかし抑制策が長期化すれば影響が出てくるのではないかと懸念する声主出ています。

 

強力な抑制政策の背後に、昨年のA株市場暴落の二の舞を踏まないようにという教訓が見え隠れています。システマティックリスクに神経を尖らせています。

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