高齢化対策に産業ロボット?

「現在5人に1人の老人を、2030年には2人に1人を、2050年には1人に1人の老人を支えることに」。

急速に高齢化を迎える中国。現在65歳以上の人口は全人口の10.1%に当たる1億3755万人、2020年には1億6700万人に増加し、世界老齢化人口の24%を占めるようになると試算されています。このような背景で10月29日に発表された五中全会のコミュニケで30年以上も続いてきた一人っ子政策に終止符が打たれたのです。

2010年、深センほか内陸で120万の雇用を創出していたアップルの下請けをするフォックスコン・テクノロジー・グループ(富士康科技)の工場で従業員14名が飛降り自殺をしたのをきっかけに、最高経営責任者の郭台銘氏は3年間でロボット100万台の導入計画を発表しました。それから5年経ちますが、100万台ロボット計画は、もちろん実現したわけではないが、フォックスコン生産ラインのスマート化がかなり進んだと報じられます。

そうした中で「2015年世界ロボット大会(WRC)」が23日からの三日間北京で開かれました。Robot Conferenceとして初の開催もあって大雪の中、開幕を待つ行列が出来上がり市民の関心の高さが伺えます李克強首相も世界最大のロボット市場を目指すとメッセージを送りました。

一人っ子政策を終焉させても、新生児が労働人口になるまでに18年はかかりますので、一人あたりの生産性の向上とロボット産業の育成が喫緊の課題だと識者が指摘します。

「2014年世界では産業ロボット約23万台出荷されているが、中国では四分の一の57000台が販売され、2年連続で世界一のロボット市場になっている。しかし、その内海外産ロボットが約71%で、国内産は29%に留まっている」と関係筋は指摘しています。

世界のロボット販売の伸び率は年間平均12%で推移していますが、中国の伸び率は25%を超えていることを踏まえ、第13次五か年計画では、2020年までに産業ロボットの販売を15万台/年間、保有量を80万台に、また2025年までにはそれぞれ26万台と180万台を目指す目標が打ち出されています。その為、2020年までにロボット産業の生産高は1000億元を突破するだろうと見られます。

同計画ではまた産業ロボットのほか、介護や医療、リハビリ、防災など社会サービスでも応用され、2020年までに自主ブランドをシェアの50%、2025年までに70%まで引き上げる目標も打ち出しています。

産業ロボットは国策で推進する業種でまたマーケットも、産業チェーンも十分にある業種でもあります。そのためもあって昨年の9月までに国内では新たに175社が参入を表明し、現在凡そ500社が業界に参入しています。投資視察団で訪問した重慶機電(2722)の親会社のほか、上場企業では、富智康(2038)、創達科技(1322)、中軟国際(0354)など関連銘柄が注目されています。

高齢化のみならず構造転換の一つとして、産業ロボットとその活用が期待されています。

 

 

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