C2CからKFCへ

「今年1~2月の中央直属国有企業の売上高は昨年同月比15.2%増の3兆7000億元、純利益は29.1%増の1686億元だった」

北京で開かれている全人代(通常国会)に出席中の国有資産監督管理委員会の肖亜慶委員長(議長)は9日の記者会見で朗らかに述べました。

同委員会の傘下には102社の大型企業があり、昨年の経営状況について、売上高は2.6%増の23兆4000億元、純利益は0.5%増の1兆2300億元だったと振り返り、利益はわずか0.5%増かと疑問の空気を察したことか、氏は0.5%の利益増もたいしたものだった。なぜなら、連続の減益を食い止めたからだと補足し、今年の1~2月は昨年第4四半期からの業績回復の流れが受け継がれ、コスト、管理その他の経費削減が功を奏し、それが利益の大幅増につながったと分析しました。

中央企業のみならず、多くの企業経営者も「最も困難時期を乗り越えてきた」と口を揃えます。

「最も困難な時期は2016年の上半期。マーケットは下落の一直線。同業の多くの企業も絶望感に包まれた。最大の要因は輸出の大幅な減少。輸出の減少により、企業の新規注文が増えないため、多くの工場が止む無く減産し、中には操業停止の企業もあった。多くの人が消費を控え、内需不振で更に家電メーカーに打撃を加えた」と、このように述べたのが、家電最大手のハイアールの李華剛副総裁。

マクロの経済指標が好転を示している中で開かれている全人代。多くの上場企業の経営者も代表(代議士)を務めているので、分科会や記者会見での発言も注目されています。

「モバイルインターネットの時代、中国はC2CからKFCに代わっている」と語ったのはテンセントのポニーマー(馬化騰)会長。

C2CとはCopy To Chinaのことで、KFCとはKaobei From China(ケンタッキーではありません)の略です。KaobeiとはCopy(コピー)の中国語(拷貝)の発音で、パソコンの時代で、海外からコピーをして中国に持ってきたが、移動通信の時代、海外企業が中国からコピーするようになってきているとモバイルインターネットの時代では、中国のコンテンツが一歩先に進んでいることを指摘しています。

氏は、タクシー予約システムを例にし、O2OはUBERが先に導入したものですが、現在、中国の「滴滴快車(タクシー)」の登録ユーザーは、UBERの世界での登録ユーザーの4、5倍にもなっていると指摘し、中国企業の躍進を語りました。

SNS最大手のIT企業としてテンセントはこれまで有望と目された企業に投資してきましたが、一番難しいのは、「医療と教育」のインターネット化だと指摘し、今後、同分野への参入を引き続き模索していくことを示唆しました。

一部外資の撤退で中国経済に対する失望の声も聴きますが、着実に業績を回復し、また独創性のある企業が成長していることも事実です。3月には、視察団で企業の現場を見てきます。その様子をまた「徐さんの中国株」と4月6日(木)の勉強会でご報告します。

(勉強会の詳細は上記「中国勉強会」をご参照ください)

 

 

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