これがビッグデータだ

「いままではITの時代だったが、これからはDTの時代になる」。「ITにやっと追い付いているのに、DTとは何だ」。3年ほど前、渋谷の居酒屋で、会員のKさんとこんな会話のやり取りがありました。アリババのジャック・マー前会長が同社の目指す方向性を私なりに解釈し、説明していたのです。ITとはInformation Technologyで、DTとはData Technologyの頭文字です。
 コロナウイルスが猛威を振るっています。関連ニュースが否応なしに耳に入ります。昨晩、渦中にある武漢市長はマスク姿で記者会見に臨み、武漢市の常駐人口は1100万人、その内、戸籍人口が990万人、流動人口は約500万人いるが、26日現在500万を超える人々が武漢を離れたと発表しました。
 500万人という数字の根拠は明らかにされていないが、武漢には中国の大学数が2位の83の大学があり、120万人の在校生がいるので、その内約100万人が全国各地から集まってきている学生さんで、春節(旧正月)に合わせて武漢が封鎖される1月23日前にすでに武漢を離れたことを考えると、500万人にはこういった大学生が含まれるだろうと推測できます。
 一方、根拠が示されたのは3大通信キャリのビッグデータなのです。3大キャリアの発表によると、25日まで、武漢から他所の省や市に出かけたユーザーは142万2700人、武漢から出かけたが、湖北省内に止まっているユーザーは197万6500人、両者合わせてコロナウイルスの発生から25日まで、340万人のユーザーが武漢からよその省や市へ流出したことがこうしたデータで分かるようになったのです。
 更に、流出した人口(通信ユーザー)はどの市の、どのエリア、どの地下鉄の周辺に一番集中しているかもビッグデータにより明らかになっているので、周辺住民に注意する情報も発信されています。
 初動が遅いという批判の声が聴きますが、地元役人の認識不足による初動が遅かったことが否めないにしても、ビッグデータの活用による情報発信は2003年のSARSの時よりはるかに速かったように思います。
 今後の情報収集や治療などでビッグデータがさらに活用されることが期待されます。アリババ傘下の「アリ健康」や平安集団傘下の「平安好医生」のオンライン診断が24時間体制で対応されていますので、遠隔問診や治療が活躍される番になるだろうと考えます。一日も早い沈静化と収束を期待しています。

 

 

 

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