「内政干渉」の始まり

中国が初めて議長国を務めるG20=主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議が「G20共同で、金融、財政政策や構造改革などを含めたあらゆる政策を総動員して減速のリスクに対応する」という共同声明を出して27日上海で閉幕しました。

世論が騒がせていた「ニュー・プラザ合意」が発表されることもなく、為替の問題が議論され、通貨安競争の回避を確認したものの、「通貨政策だけでは均衡成長は実現できない」という文言も盛り込まれ、各国が進める金融緩和よりも構造改革こそ持続成長の根源だという認識がスポットライトを浴びることになりました。

構造改革について参加国が承諾するという前提で、構造改革のロードマップを明確にし、一連の改革の重点的セクターとガイドラインを示して構造改革推進の指針とし、更に改革の進み具合とリスク対応の評価と監視システムをつくることで合意を示しました。

IMF,国際通貨基金のラガルド専務理事は、G20参加国間に協調行動が必要との切迫感が見られると指摘し各国の政策当局者が協調行動を取らなければ、世界経済が失速する恐れがあると警告しました。

グローバル時代で、協調なしで自国の問題解決ができるとの目論みはむしろ時代遅れになっています。

会議に出席したポールソン米前財務長官は「世界経済が減速し、金融市場が不安定で、先行きも不透明な現在、G20は協調行動をとることが何より大事だ」として、中国の為替政策について「外部の人間があれこれ言うべきではない」とした上で、中国の改革について、次の三つの提言をしました。

一つ目は、経営不振の国有企業について、業界のリストラではなく、破産の形で国有企業の改革を進めるべきだということ、

二つ目は、需要者側からの税制改革で、民営企業やベンチャー企業に対して税率を引下げ、国民の消費を促進する措置を取ること。

三つ目は、供給者側の財政政策を慎重に運用し伝統的産業を成長産業への転換に支援することの三つを上げています。

内政干渉は国際政治においては敏感な言葉で、下手をすると国家間紛争も引き起こしかねないパターンの一つです。しかし、経済においては国際協調が共通の認識になり、またその協調による利益も各国が共通で享受できるようになっています。

橋本内閣時代に進められた行革に、アメリカ政府から日本の国内問題について様々と指摘されることについて、「内政干渉だ」と日本国内で警戒する向きもありましたが、いまそのアメリカの指摘は中国に向けています。

すでに金融や財政政策だけでは、持続成長を維持できないことが中国では官民共通の認識となっています。先日参加した四環医薬取引再開の説明会でも、2016年は業界の構造改革の年だという声が出ています。

問題点を指摘されることはまさに「良薬口に苦し」ということで、そういった「内政干渉」が実を結ぶことを期待しています。

 

 

<お知らせ>

四環医薬取引再開に関する同社説明会の内容を中国企業情報2016』に纏めています。ご参照ください。

 

 

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