四環医薬 精査に時間が

四環医薬の決算発表を当社HPにて取上げたところ、多くのお問い合わせをいただいております。決算発表(2日)後、同社はその翌日(3日)、決算の内容や発表の遅延及び株式の売買停止について説明会を行いました。当社も案内を受け国際回線にて説明会に参加しました。その時の様子や説明会でのQ&Aを「中国株エクスプレス」で発信していますが、その一部をご紹介します。 

同社株式売買停止の原因は正に2014年12月までの本決算が発表できないことにありました。本決算が発表できるようになったので、取引も再開できると思いきや、売買停止が3ヶ月(3月27日から)を経過したので、7月22日、香港証券取引所が取引再開について四つの前提条件を提示したのです。 

同社決算の内容は事前の予想通りの増収増益で、売上高は19.2%増の30億8400万元、純利益は同30.1%増の16億7100万元、粗利率は68.46%、EPSは0.161元、期末配当は0.013元実施するという内容でした。 

説明会には、車会長、郭CEO、蔡首席財務官、日本での投資家説明会に参加予定だった賈COOなど経営陣揃っての出席で、経済紙記者やアナリストの質問も下期の予想のほか、当然取引再開の見通しに集中しました。 

例えば、こんなご質問が。「取引再開のタイムスケジュールは?その他指摘を受ける可能性と今後の経営に対する影響は?」との質問に対して、車会長と蔡首席財務官は次のように答えています。 

「指摘を受けた後、会社が一丸となって問題の解決に当たってきた。販売方法において、2011年「多菲製薬」を買収した当初、同社は出荷価格を高く設定し、差額を代理店にリベートとして支払ったが、当社もその販売モデルを黙認、踏襲し、当社独自の薬品も同様の方式で販売していた。現在、薬価は完全に自由化になっているので、その必要性もなくなった。出荷価格を安く抑えてリベートをカットして販売した方が会社の成長にも寄与すると考える。 

取引再開については、取引所の四つの前提条件を満たさなければならないが、現在その内の二つはすでにクリアしている。しかし取引再開は取引所の決定事項で、当社にはタイムスケジュールはない」と。 

これに対して「取引が再開されないと、どんなビジネスモデルも投資家にとって意味のないことだが、取引再開の努力は」とさらに記者が突っ込むと、蔡財務官は「車会長以下専門チームを組み、最大限の努力をしている。証券取引所の前提条件は規則通りのことで、いわゆるノーマル的なものだ。当社も最短時間の再開を期待している。」と述べるに留まっています。 

指摘を受けた同社社員個人名義の口座利用について「(リベートを支払うために)個人口座を使ったが、今後使うことはない」としています。 

同社の新薬開発や入札制度の影響など郭CEOと賈COOはそれぞれ質問に答えています。 

薬品の出荷価格を高く設定して出荷し、販売店(代理店)に後日差額をリベートとして支払う販売システムの良し悪しは当稿の範疇外のことですが、監査法人が意見を保留したことで、保留理由は遡って3年分を精査するのに間に合わないとしてもコンプライアンスに問題がなかったかどうか社内で精査する必要があったのではないかと思います。しかしながら、噂される粉飾決算とは次元の違う話だなと言う印象を受けました。

 

 

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