遅刻はあっても欠席することはない

本土市場は引き続き連休でお休みですが、香港市場は2日から取引が再開されています。1. 本土市場の休場で、その影響を受けなくなり「上海・香港直通車」もお休みで取引(買いも売りも)ができなくなった、2.外部資金が香港に流入し、いつでも株式市場に入る準備ができている、3.ハンセン指数、H株指数がともに世界一安い、などアナリストの事後分析がありますが、2日の香港市場は659ポイント、3.19%大幅に上昇しています。

昨年、視察団で香港を訪れた際、地元メディアが取材で同行し、上海、香港直通車開通後の市場の動きについて感想を求められました。予想はしないよと断っても日本の投資家はA株を買うかそれともH株を買うかと、その理由は粘られるので、H株でしょと答えています。

 


視察団の訪問を取り上げた新聞記事を中国証券網が転載

去年8月の時点ですが、H株との比較で、1.ディスクロージャーの不足、2.会計基準の差、3.投資の制限(8月時点では、直通車はまだ開通になっていない)などを理由として挙げました。

ところが、それからと言うもの、A株は年末から、上りに上がって、深センの創業版に至っては、PERが1万倍以上買われている銘柄も続出してこれまでの株式投資に関する理論のどれを取って見ても、これを説明できるものは見当たらないのが正直な感想でした。

A株の急騰に連れられH株も3月から動意を見せ、4月に入ってから急騰し始めたものの、3カ月は続かず、6月中旬から以降、A株の暴落に伴い、9月まで下がり続けたのです。

しかし、4月以降の資金の流れを見てみますと、市場に共通した動きが見えてきたのです。4月は9日から25日までの間、合計12回714億香港㌦分の米㌦買いを香港金融管理局が実施しましたが、9月もまた同じく12回で合計711億香港㌦分の米㌦買いの市場介入をしていることです。その違いはと言えば、4月はホットマネーとして香港株と人民元買いの資金として流れ、結果として香港市場の大相場を迎えていますが、9月は人民元の避難先として香港市場が選ばれたというのが大方の見方です。その背景として8月には、中央銀行から人民元の切下げが突然発表されたからです。

昨年11月以降の人民元の利下げと今回の元の切下げにFRBの利上げ観測などが重なって中国市場から資金が流出したという見方もあります。しかし、ホットマネーとしても、避難先としても、利益を追い求める資金としてそのまま銀行口座の居眠りすることは考えにくいと思います。

先月末、内陸の基金38本がすでに申請し、年内にも認可される見通しとなりました。上海・香港直接取引に続き、深セン・香港直接取引は、内陸市場の暴落でしばらく音沙汰なくなっていますが、公約の一つで再開されることが期待されます。

香港市場の平均PERもPBRも世界市場から見ても最安値となっています。700億香港㌦は香港市場の一日平均の取引高程度で、大したことはないと思われるかもしれませんが、流れ=風向きは重要です。

香港市場への資金流入は、少し遅れるものの、そのままスルーになることはないと考えます。

 

 

 

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