未来産業を狙え

日本での爆買いが度々取り上げられております。商品がしっかりしていて買い安心感があること、円安でお買い得感があること、知人や知合いにお土産にすることなど様々と理由はありますが、お金を使うことに昔ほど抵抗がなかったことが最大の要因ではないかと考えられます。 

中国も少子高齢化で、若年層が増えています。1990年以降に生まれた人を90ホオ(ホオは「後」という字の発音)、2000年以降に生まれた人を00ホオと表現されています。では、その前に生まれた人はと言えば、もちろん80ホオ(1980年代以降)、70ホオ(1970年代以降)とも呼ばれます。 

しかし、90ホオ、00ホオと70ホオ、80ホオとは大きな違いがあります。それは消費観念の差です。1970年代以降に生まれた人たちが22歳で大学を出た頃、ちょうど鄧小平の「南巡講和」の時期で、改革開放が加速された時代でした。そして1980年代以降に生まれた人たちが22歳で大学を卒業し、社会に出た頃は、中国がWTOに加盟(2001年)し、世界の工場に変わろうとしていた時代で、この頃から住宅の配給制から商品化へと進み、70ホオ、80ホオにとって結婚適齢期とも重なって、彼らにとっての最大の支出は言うまでもなく不動産そのものでした。 

この時期の流行語に「房奴」が初めて登場し、ローンに喘ぐ彼らの人生を如実に表しています。不動産の成長を見て中央企業も含めてこの時期に挙って不動産市場に参入し、アッと言う間に数万社も事業者が出たのです。 

お蔭で万科や恒大、保利など不動産業者が急成長を遂げています。こうした「房奴」と比べて90ホオ、00ホオが成人した頃は不動産も飽和状態を迎え、インターネットが世の中を制する時代になり、またその親の働きで、世の中も家庭も以前よりは随分と豊かになり、彼らにとって最大の支出はもはや不動産ではなくなり、個性を強調する旅行やエンターテインメントが主流となってきています。 

それを意識したのか、昨日、上場後初の本決算を迎えるアリババのジャック・マーは決算発表後、株主へのメッセージを発表し、その中で同社今後10年の目標の一つとして、「Double H」(Health and Happiness)産業を目指すと宣言しています。 

健康と娯楽と言えば、「復星国際」も同じように宣言しているし、この一年ほどの間、ネット3雄のBAT(BAIDU、アリババ、テンセント)が共通した事業に進出しています。映画製作です。アリババは昨年8月上場会社の1060を買収し、映画産業に進出したのに続き、先月テンセントは映画製作の会社を2社同時に立ち上げることを発表しました。

不動産は過去の産業と位置付けるなら、健康と娯楽はまさに未来産業と言えるのではないでしょうか。

 

 

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