テンセント 「インターネット+」の探究者(新華財経メルマガより)

中国インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が創業20年を迎えた今年、馬化騰(ポニー・マー)董事会主席兼最高経営責任者(CEO)は、大規模な事業再編を通じて、サービスの方向性を「消費のインターネット」から「産業のインターネット」に転換するとの決定を下した。
 同社は馬氏が同級生や友人らと1998年に創設し「国民的ソフトウェア」として知られるインスタントメッセンジャー「QQ」を生み出した。当時、「QQ」を通じてインターネットを初めて知った人も多い。2010年以降にスマートフォンの普及が進むと、今度はモバイルインターネットの入口、微信(WeChat)を開発した。
 馬氏は2013年から、「インターネット+」の概念を積極的に提唱してきた。全国人民代表大会(全人代)代表でもある馬氏は、2015年に「『インターネット+』を原動力とする中国の経済・社会のイノベーションと発展の推進に関する提案」を提出すると「インターネット+」は同年の政府活動報告に盛り込まれ、国家行動計画となった。
 現在では、インターネットのない生活など想像もつかないだろう。広東省ではこのほど、微信内のミニプログラム(小程序)を利用したオンライン行政サービスを開始。住民は微信で、社会保険、出産・子育て、公的積立金、出入境、運転免許証、納税証明など460種類以上の行政サービスを受けられるようになった。
 騰訊は今、全世界の10億人を超えるユーザーにソーシャル、通信、教育など総合的なインターネットサービスを提供している。中国信息通信研究院の調べによると、微信を通じた情報がきっかけとなり消費した金額は2017年に2097億元(1元=約16円)に達し、同様の情報がきっかけで就職した人数は2030万人に上る。
 騰訊のこれからの20年について、馬氏は新たな方向性をすでに見出している。「インターネット+」はすでに「後半戦」に突入し、アクセス数の急速な伸びはこれ以上見込めず、ユーザーの爆発的な増加も頭打ちとなるなか、新たなビジネスチャンスの主役は「産業のインターネット」へと移り始めていると指摘する。
 馬氏はまた、同社は今後、クラウドコンピューティング、決済、人工知能(AI)、ネットワークセキュリティーなどのインフラを利用し、提携パートナーに権限を付与する形で、次世代のスマート産業エコシステムを構築するとともに、消費者と産業を結び付ける方法で、新たな価値を生み出すとした。
 馬氏は「今後も『インターネット+』の方針に沿った事業展開を続け、努力してさまざまな産業のデジタル化を助ける存在になり、経済と社会の発展を積極的に支えていきたい」と語った。(「新華財経メルマガ」より)

 

 

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